1974年、人工芝のフィールドに対応するアメリカンフットボール用シューズとして誕生した、"NIKE(ナイキ)"の"ASTROGRABBER(アストログラバー)"。共同創業者"BILL BOWERMAN(ビル・バウワーマン)"が生み出したワッフルソールを用い、人工芝をしっかりと捉えるグリップ力と、金属スタッドとは異なる軽快な履き心地を追求した一足である。低く伸びるフォルム、無駄を抑えたアッパー、大きなスウッシュ、四角いラグが並ぶアウトソールは、競技のための機能を簡潔なデザインへ結びつけていた。
生産期間の短さから長くヴィンテージ市場で語られてきたが、"BODE(ボーディ)"とのコラボレーションをきっかけに再び脚光を浴び、現在は70年代のスポーツアーカイブを日常へ取り入れられるロープロファイルモデルとして展開を広げている。その魅力を引き出しているのが、素材による表情の変化だ。毛足のある"BLACK/MUSLIN"のスウェード仕様、編み物のような温もりを備えた"PHANTOM/LIGHT KHAKI"のテキスタイル仕様など、同じ輪郭を使いながら、素材ごとにスポーティ、クラフト、リラックスと異なる個性を見せてきた。
今作の主役は、深いシナモンで染めたフルグレインレザー。表面を均一に整えすぎず、革本来のきめや自然な艶を感じさせる仕上げが、シンプルなアッパーに豊かな陰影を与えている。新品時には端正な印象を持ちながら、履き込むほどに柔らかさを増し、屈曲する部分に生まれる皺や艶の変化も楽しめる素材だ。赤みを含んだブラウンは温かみがあり、ダークデニム、コーデュロイ、ウールといった秋冬の素材とも自然に調和する。
パーツ構成はクラシックだが、細部には手仕事を思わせる表情が加えられている。トウからアイステイを囲むラインには、太い糸で革の縁をかがるようなステッチを採用。ヒールの切り替えにも同様の縫製を走らせ、フルグレインレザーの上品さを程よく崩している。この装飾的な縫い目が、モカシンやデッキシューズにも通じる親しみやすさを生み、アメリカンフットボール由来のスポーツモデルへカジュアルな雰囲気を加えた。
サイドの大きなスウッシュにはセイルのレザーを使い、アッパーの濃いブラウンから明るく浮かび上がらせた。シューレース、ライニング、シュータンも生成りに近い色で揃え、硬さのある革の印象へ柔らかな抜けを作っている。ヒールとインソールには、70年代を思わせる筆記体の"nike"ロゴを配置。細いソールラインと控えめなロゴ使いが、スポーツシューズらしさを残しながら、レザーシューズのような落ち着きを引き立てる。
足元にはクッション性を担うフォームミッドソールと、モスリンで統一したラバーのワッフルアウトソールをセット。人工芝を掴むために生まれた四角いラグが、現在ではレトロな外観を決定づけるアクセントとなっている。パッド入りの履き口が足当たりを整え、薄底の軽快さもキープ。艶のあるシナモンレザー、素朴なステッチ、柔らかな生成りの組み合わせにより、上品さを保ちながら気負わず履ける、これからの秋冬シーズンにぴったりな一足へと仕上げられている。
日本国内では2026年7月12日9時よりNIKE.COMにて発売開始。価格は17,160円(税込)。また新たな情報が入り次第、スニーカーウォーズのXやFacebookなどで報告したい。
(pic. NIKE)